アイルランドで8日、総選挙が実施される。バラッカー首相は国外でも知名度が高く、国内経済も順調に伸びているものの、総選挙では生活に密着する内政問題が重視されており、同首相率いる中道右派の統一アイルランド党(フィナ・ゲール)は苦戦が予想される。同党と中道右派・共和党(フィアナ・フォイル)の二大政党が、第3党の左派・シン・フェイン党に敗れ、政治が大きく変わる可能性も出てきている。BBC電子版が6日伝えた。
バラッカー首相は、ブレグジット交渉で重要な役割を果たすなど国外での知名度は高いが、選挙で重視されているのは住宅不足や医療サービスの不備、年金受給開始年齢の引き上げといった内政問題だ。同首相は、アイルランド経済が欧州連合(EU)域内で最大の伸びを示していることを強調するが、国内にその恩恵が行きわたっていないとの批判もある。
地元紙アイリッシュタイムズと市場調査会社イプソスMRBIの最新調査では、統一アイルランド党の支持率は20%で3位にとどまった。一方、シン・フェイン党は25%と、共和党の23%も抜き首位に立っている。シン・フェイン党はアイルランド民族主義を掲げ、英領北アイルランドでも政党活動を展開。向こう数年以内にアイルランド統一を巡る住民投票を行うことを強く支持している。
総選挙では各党とも単独過半数には至らない見通しだが、統一アイルランド党と共和党は、いずれもシン・フェイン党と連立を組む可能性は否定している。バラッカー首相は1月、共和党との大連立を検討していると発表したが、共和党のマーティン党首はこれを拒否し、労働党と緑の党を連立候補として挙げている。
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