女性幹部は金融機関の業績に好影響を与えている――。こうした傾向が、欧州銀行監督機構(EBA)が3日に公表した管理職の多様性に関する調査で明らかになった。
EBAは2015年から欧州連合(EU)域内の銀行や投資会社を対象にこうした報告書を発行しており、今回は834社の2018年9月時点のデータを元にまとめた。それによると、全体の約3分の2で幹部役員の性別が一方に偏っており、この大半は男性が占めた。大規模な機関に限っても、この割合は50.6%に上った。しかし、女性が要職を占める割合は2015年の前回調査時より改善。管理職全体では前回の13.6%から15.1%に上昇し、監査役などの幹部職に限ると18.9%から24%に伸びている。
EBAは、管理職に多様性が確保されている場合、より広範な視点や意見、経験、認識、価値観、背景などを取り入れることができ、戦略やリスクに対する意思決定プロセスを改善できると分析。幹部役員に男性と女性の両方が含まれる金融機関の株主資本利益率(ROE)は平均7.28%と、幹部役員の性別が偏っている機関の平均5.95%よりも高いことが分かった。また、性別の多様性が確保されている機関のうち54.7%が、金融機関全体の平均値(6.42%)を上回るROEを達成した。
なお、金融機関全体のうち41.6%は、管理職の多様性に向けた指針を採用していない。EBAは域内の金融機関と加盟各国に対し、管理職への女性の登用を促すとともに、多様性に向けた指針の導入を義務付けるEU規制に準拠するよう訴えている。[EU規制]
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