欧州中央銀行(ECB)は23日開いた政策理事会で、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.5%で維持。いずれも大方の予想通り。ECBは併せて、16年ぶりに金融政策戦略の見直しに着手すると明らかにした。
昨年11月から再開した量的緩和策についても資産の購入規模を毎月200億ユーロに維持している。政策理事会は「予想期間内のインフレ見通しが2%に十分近く、かつそれ以下の水準に確実に落ち着き、これが基調となるインフレ動向に一貫して反映されるようになるまで、主要政策金利を現行水準以下に維持する」とのフォワードガイダンスを改めて示した。資産購入についても「政策金利の影響の補強に必要な限りは続け、主要政策金利を引き上げる直前に終了する」としている。
ラガルド総裁は記者会見でユーロ圏経済について「引き続き下振れリスクがある」と指摘。だが、米中の貿易紛争が部分的に緩和したことからリスクはやや和らいだとの見方を示した。金融政策戦略の見直しについては「政策手段の実現方法や測定方法、コミュニケーション方法の各方面で取り組む必要がある」とし、人々の期待に耳を傾けることを強調している。
見直しの背景には、金融緩和策の継続にもかからずインフレ率の目標を達成することができず、金融政策手段の効果を疑問視する見方が広がっていることがある。現行戦略は1998年に採択され、2003年に一部を変更したままとなっている。見直しでは、経済環境の大きな変化に対応し、戦略の中で調整が必要な部分を見極める。物価安定に向けた定量的な公式の策定や金融政策手段、経済・金融分析などを検討するほか、金融の安定性、雇用、環境の持続可能性などをECBの使命とどのように関連性を持たせるか考慮する。ラガルド総裁は、中でも気候変動が重要な課題になると説明している。新たな戦略は、年内にまとまる見通し。
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