英政府は14日夜、格安航空大手フライビーの救済策で合意したもようだ。1億ポンド超に上る航空旅客税の支払いを延期する代わりに、主要株主に対して数千万ポンドの資金を追加投入するよう要請することなどが盛り込まれている。一方、競合や環境保護団体などはこの動きを批判している。BBC電子版などが伝えた。
救済案は、ジャビド財務相、レッドソム民間企業・エネルギー・産業戦略相、シャップス運輸相の間で合意。これ以上の詳細は明らかにされておらず、政府側は引き続きフライビーへの融資について交渉しているという。フィナンシャル・タイムズによると、政府は3月の予算案発表で、全ての国内便を対象に航空旅客税を引き下げる方針を明らかにする可能性がある。
レッドソム氏は自身のツイッターアカウントで、「フライビー株主と通常運航の維持で合意したことは喜ばしい」とし、これにより英国の地方が引き続きつながると強調した。また、英航空操縦士協会(BALPA)も、今回の決定を歓迎している。
しかし、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空を運営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)のウィリー・ウォルシュ最高経営責任者(CEO)は、シャップス運輸相に宛てた書簡で「間違った税金の使い方だ」と指摘。フライビー取得が決まっている英ヴァージンアトランティック航空が参画するコンソーシアム「コネクト・エアウェイズ」に対し「自らの運営ミスのツケを、納税者に支払わせようとしている」と糾弾した。IAGは15日、欧州委員会に対し、英政府の対応が国家補助に関する欧州連合(EU)法に違反していると訴えている。
また、航空業界の排ガス量を問題視する環境保護団体は、いかなる航空旅客税の変更も航空移動の値下げと大気汚染を招く増便につながるとし、「完全なるスキャンダルで、気候変動に対してリーダーシップを取るというジョンソン首相の公約に反する」と苦言を呈した。
フライビーは欧州最大の地方航空会社で、ロンドンを除く英国国内路線の半分以上を運営している。破綻した場合、従業員約2,400人が失職する恐れがある。また、バーミンガムやマンチェスターなどイングランド北部路線を運航していることから、昨年12月の総選挙でこれらの労働党地盤で大量に議席を奪った現保守党政権にとっては、救済が重要視されていた面もある。
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