オーストラリアの連邦裁判所は20日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が車両の窒素酸化物(NOx)排出量について虚偽の報告を行ったとして、同社に1億2,500万豪ドル(8,600万米ドル)の罰金を科した。国内の消費者法違反に対して同裁判所が命じた罰金額としては過去最高となる。オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)が発表した。
ACCCによると、VWは2011~2015年にオーストラリアに輸出する際に、車両5万7,000台超に違法なソフトウエアを使用し、承認を申請していたことが発覚。同ソフトウエアは排ガス試験の際に「モード1」でNOxの排出量を抑え、走行時には「モード2」に切り替え、その分多くのNOxを放出し、排出量を調整していたという。VWは一連の不正行為について認めている。
ACCCは2016年9月、同問題を巡り連邦裁判所に提訴。その後両者間で交渉が行われ、VWが7,500万豪ドルを支払うことで和解していた。だが、連邦裁判所のリンジー・フォスター判事が今年10月、VWの不正行為は故意で、大規模な影響を与えており、和解金の支払いでは不十分と指摘。同裁判所は一転して、今回の判決に至った。VWは今回の決定について、上訴を検討している。
VWの排ガス不正問題を巡っては、ロンドンの高等法院で先に、集団訴訟の審問が開始。原告の数は約9万人に上り、英国では最大規模の対VW訴訟だ。
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