伊自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)は18日、対等合併することで正式合意したと発表した。世界販売台数は計870万台となり、独フォルクスワーゲン(VW)、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車連合、トヨタ自動車に次ぐ世界4位に浮上する。
新会社の会長にはFCAのジョン・エルカン会長が、最高経営責任者(CEO)にはPSAのカルロス・タバレスCEOが5年契約で就く予定。取締役会は11人で構成され、タバレスCEO以外に両社から5人ずつ指名される。オランダに親会社を置き、ユーロネクスト・パリ、ミラノ証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にそれぞれ上場する計画で、フランス、イタリア、米国に置く本社機能はいずれも維持する方針。取引完了には株主や関係当局の承認が必要で、12~15カ月を要するとみられる。社名は数カ月以内に決定する見通しだ。
自動車メーカー各社はかねて、電気自動車(EV)や自動運転システムの開発費用の増大に直面しており、組織の転換を迫られている。FCAとPSAは経営統合後、販売台数の3分の2超を2つのプラットフォームに集約して合理化を図るほか、新技術などへの投資の効率化を目指す方針。工場や人員を減らすことなく年間約37億ユーロのコスト削減を見込んでおり、世界的な自動車の需要減退と厳しい排ガス規制の基準を満たしたクリーン車両の生産コストに対応していく考えだ。その他の具体的な計画については、現段階では決まっていないという。
FCAは取引完了に先立ち、株主に計55億ユーロの特別配当を実施するほか、生産設備のオートメーション化やメンテナンスを手掛けるコマウ(Comau)の売却益を分配する予定。一方、PSAは仏自動車部品子会社フォルシアの保有株46%の売却益を株主に還元するとしている。[M&A]
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