マドリード証券取引所を運営するボルサス・イ・メルカードス・エスパニョーレス(BME)は18日、スイス証券取引所を運営するSIXグループから全株取得に向けた総額28億4,300万ユーロの買収提案を受けたと発表した。一方、蘭同業ユーロネクストもBMEと協議中だと明らかにしており、争奪戦の様相を見せている。
SIXは、全株取得を目指し株式公開買い付け(TOB)を実施する。BME株1株当たり34ユーロを提示しており、これは発表の前営業日終値に34%のプレミアムを上乗せした水準。取引成立には50%プラス1株を取得し、当局などの承認を得る必要がある。
SIXは今回、買収後の条件としてBMEの子会社やその人員、運営に必要な技術をスペインから移管しないと確約。BMEブランドと現在の事業活動、本社、オフィス、スペインでの事業戦略を少なくとも向こう4年間は維持し、経営も独立させると強調した。SIXとしては欧州連合(EU)域内事業を強化でき、中南米市場に進出する上でBMEがその仲介役と事業ハブになると見込んでいる。
BMEの取締役会はSIXの提案について、金額面では妥当とコメント。事業戦略面ではスペイン市場の統合性と安定性が保証されるとして歓迎している。一方で、取引が失敗に終わった場合に買収提示額の0.5%を解約金として受け取る契約を結んでいる。
半面、ユーロネクストはBMEとの交渉の進展具合などは明らかにしておらず、買収提案に至るかどうかも定かではないと説明。それについては適当な時期に発表するとしている。
証券取引所業界では再編の動きが加速しており、ロンドン証券取引所(LSE)グループは8月、英米金融情報サービス会社リフィニティブ(Refinitiv)を約270億ドルで買収することで合意。香港取引所(HKEX)はこれに割り入る形でLSEに買収を持ちかけたが、LSEの経営陣や株主の合意が得られず、提案を取り下げている。[M&A]
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