英政府は費用がかさんでも高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」の建設プロジェクトを進めるべきだ―。計画の再検討を進めていた諮問委員会が、こんな内容の草案をまとめていたことが分かった。BBC電子版などが12日報じた。
HS2は、イングランドを縦に貫く高速鉄道計画。第1期工事でロンドン―バーミンガム間、さらに第2期工事でバーミンガム―マンチェスター、リーズ間の2路線を敷設するとされる。第1期は2026年、第2期は2033年にそれぞれ完成し、総工費は557億ポンドと見積もられたが、計画の遅延と予算超過が指摘されてきた。産学界の専門家でつくる諮問委は、批判を受けた政府が事業見直しを掲げて8月に設置した経緯がある。
BBCによると、同委は総工費が現時点の試算880億ポンドを上回る可能性を指摘。費用削減の手段として、1時間当たりの運行本数を18本から14本に減らす案などが盛り込まれた。詳細は12月の総選挙が終わるまで公開されない見通しだが、イングランド北部の政財界からは内容を歓迎する声が上がっている。
その一方で、草案に対する委員間の溝も明るみに出た。ロード・バークリー副委員長は委員会に宛てた書簡で「バランスを欠いた内容だ」と批判。「議論する時間があまりに短く、結論ありきに思えた。私には自分の報告書を発表する権利がある」と記している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。