伊自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は30日、仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)と合併に向けた協議を進めていると発表した。両社の経営統合を巡る報道内容を認めた格好。ロイター通信によると、実現すれば統合後の新会社の企業価値は500億ドル近くに達する大型案件となる。
PSAの監査役会はこの日、経営統合案について協議するとみられる。一方、FCAは声明で、「現時点でこれ以上報告することはない」としている。BBC電子版によると、実現したならば、PSAのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)が新会社のトップに立つ公算が大きい。一方で、FCAのジョン・エルカン会長の立場は維持されるもよう。
FCAは5月、仏同業ルノーに対等出資による経営統合を提案。だが、ルノーに15%出資する仏政府が雇用維持などの条件を要求した上、ルノーが連合を組む日産自動車の支持獲得に向けて動いたことから、FCAは公表からわずか2週間弱で計画を取り下げていた。エルカン会長はその後、他社との提携を模索していることを明らかにしており、背景には同社が車両の電動化や排ガス量削減、自動運転技術などで他社に遅れを取っていることがある。
市場アナリストによると、FCAとPSAの昨年の累計販売台数は計870万台。合併した場合、世界販売で4位につく格好だ。各アナリストの間では、この2社の合併は市場競争の激化などから理にかなっており、成功する可能性がより高いとみる一方、PSAは欧州市場に注力しており、米国や中南米、中国市場におけるシナジー効果は低いとの見方もある。[M&A]
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