独金融最大手ドイツ銀行は19日、フィンテック(ITを活用した金融サービス)企業デポジット・ソリューションズの株式4.9%を取得したと発表した。デポジット・ソリューションズが顧客である銀行からの出資を受け入れるのは初めて。
フィナンシャル・タイムズによると、取引額は5,000万ユーロとみられ、これに基づくと同社の企業価値は10億ユーロを超える計算。これは昨年8月に1億ドルを調達した時点の2倍以上で、国内のフィンテック企業ではオンライン銀行N26に次ぐ規模となる。
デポジット・ソリューションズは2011年の設立。ハンブルクを拠点に欧州18カ国の100行を超える銀行を「デポジット・ソリューション・オープン・バンキング」のプラットフォームでつなぎ、リテール(小口金融)の顧客はここから有利な貯蓄商品を選べる。既に20万件近い顧客が利用し、140億ユーロを超える資金の貯蓄を仲介した。
ドイツ銀も2017年から同社の顧客となり、「Zinsmarkt」を通じてドイツ銀の預金者は他行の定期預金商品を利用し、これまでにその利用額は約20億ユーロに上る。同行は顧客が他行の商品を利用すれば、それに応じた手数料をデポジット・ソリューションズから受け取っている。
ドイツ銀はこのサービスを傘下の金融大手ポストバンクの顧客13万件や国外の顧客4万件にも広げることを計画している。これによりデポジット・ソリューションズは、顧客数を大幅に拡大できる可能性がある。ただし同社は、「今回の取引はドイツ銀による純粋な投資であり戦略的なものではない」として、同社のプラットフォームは特定の銀行を対象としたものではなく、開かれた中立的なものであることを強調している。
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