スペインの中道右派シウダダノス(Ciudadanos)のアルベルト・リベラ党首は16日、条件付きでサンチェス暫定首相の信任獲得に協力する方針を明らかにした。政治的行き詰まりを打開し、再選挙を回避する狙いで、最大野党の国民党(PP)にも協調を呼びかけている。同党はこれまでサンチェス氏への協力を一切、拒否してきただけに、突然の協力申し出は意外感を持って受け止められている。
同国では4月末の総選挙以来、政権不在が続いている。9月23日までにサンチェス氏が首相として信任されなければ、11月に再び総選挙が行われる予定となっている。信任投票ではPPとシウダダノスが棄権すればサンチェス氏の首相就任が決まるが、両党はこれまでその可能性を否定してきた。
リベラ党首はこの日の記者会見で、サンチェス氏が3つの条件を受け入れれば、サンチェス氏の首相就任に協力する方針を明らかにした。条件としては◇増税を行わないこと◇北東部カタルーニャ自治州政府が、反逆罪などに問われている同州の独立派指導者らへの判決を受け入れなければ、同州の自治権を再び停止すること◇サンチェス氏率いる社会労働党(PSOE)が北部ナバラ自治州政府で、左派ナショナリスト政党エウスカル・エリア・ビルドゥ(EH Bildu)と協力しないこと――を提示。「誰も手を打たなければ、多額の資金が再選挙に費やされることになる」と訴え、PPのパブロ・カサド党首とも会談して協調を呼びかける方針を示した。
4月末の下院(定数350)選挙では、PSOEが第1党の座を維持したものの、123議席で単独過半数に届かなかった。同氏は信任獲得に向け極左政党ポデモス(Podemos)に協力を求めたが、ポデモスはその条件として連立政権への参加を要求し、サンチェス氏がこれを拒否したため交渉が決裂。サンチェス氏は第1、2回目の投票で信任を獲得できなかった。
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