アイルランドの格安航空ライアンエアーは21日、同国拠点のパイロットが22~23日に計画していたストライキの実施を巡り、ダブリンの高等裁判所が差し止め命令を下したと発表した。これにより、両日とも全便を予定通り運航するとしている。
ストは、公共サービス労組FORSAの下部組織であるアイルランド航空操縦士協会(IALPA)が計画。所属メンバー約180人のうち、9割超がスト実施を支持していた。
ライアンエアーは審問で、IALPAは交渉が結論に達しないうちにストの実施を発表したと主張。一方、IALPAは3月に業界水準の賃金と労働形態を求める書簡を提出したものの、それに対するライアンエアーの対応が「真剣ではなかった」と批判した。
ライアンエアーは裁判所の決定を受け、FORSAに対し交渉の場に戻るよう呼び掛けている。また、FORSAとストを支持した一部のパイロットに対し、アイルランドのエアリンガスのパイロットの賃上げを巡っては、向こう3年で9%の引き上げで合意したにもかかわらず、ライアンエアーのパイロットについては101%の賃上げを要求した理由の説明を求めている。同社のパイロットの年俸は17万2,000ユーロを超えており、これらの高額所得者は顧客とその家族の休暇計画を台無しにすべきではないとコメントしている。
ライアンエアーは英国拠点のパイロットが22~23日に計画しているストについても、同様にロンドンの裁判所に差し止めを求めている。
■ポルトガルではスト決行
ライアンエアーのポルトガル拠点の客室乗務員はこの日、計画通り5日間のストに突入した。同日午前10時の時点では、リスボン、ポルト、ファロの各空港で運航の遅延は報告されていないものの、ライアンエアーは一部のフライトで遅延が発生する恐れがあると警告している。
夏季の休暇シーズン中のスト実施を受けて、ポルトガル政府は同社に対し、最低限のサービスとスタッフを確保するよう命令。これに対し、ストを主導する同国の客室乗務員労組SNPVACは、命令は「虐待的」であり、ストを実施する権利を脅かすものと非難している。[労務]
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