アナログ集積回路(IC)やセンサーの設計・製造を手掛けるオーストリアのAMSは11日、独照明機器大手オスラム(Osram)に対し、再び1株当たり38.5ユーロでの買収提案を行ったと発表した。オスラムは既に、投資会社と1株当たり35ユーロの買収提案で合意したものの、筆頭株主であるアリアンツ・グローバル・インベスターズは提示額が低すぎるとして難色を示しており、AMSが割って入った格好だ。
AMSは、買収により2億4,000万ユーロのコスト削減を目指すほか、クロスセルも期待できるとしている。さらに、オスラムのデジタル部門を非中核事業と位置付けており、一般消費者向けの発光ダイオード(LED)事業から徐々に撤退する方針だ。
またAMSは、南部バイエルン州レーゲンスブルク(Regensburg)の工場をLED生産の専門拠点として投資することを約束。さらに、労働協約と年金スキームを向こう5年間は変更しないことを確約しており、従業員の支持を取り付けたい考えだ。
AMSによる買収が実現した場合、両社を合わせた売上高は50億ユーロを超え、センサーと光子分野で世界有数の企業が誕生することになる。
オスラムを巡っては7月、米投資会社ベイン・キャピタルとカーライル・グループから成るコンソーシアムが買収案を提示。オスラムの取締役会と監査役会はこれを支持する方針を示したものの、8月に入り、アリアンツ・グローバル・インベスターズが提示額を「たたき売り」として、これに反対する方針を示している。AMSの提示額は総額約41億ユーロで、コンソーシアムの34億ユーロを大きく上回る。[M&A]
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