ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは8日、第3四半期(4~6月)の純損失が7,700万ユーロとなり、前年同期の1億1,400万ユーロから赤字が縮小したと発表した。自動車産業の低迷や安価な鉄鋼製品の輸入増は依然として響いている。
売上高は107億7,900万ユーロと、ほぼ横ばい。うちエレベーター・テクノロジー部門は5.4%増加した。部品テクノロジー部門は2.1%、インダストリアル・ソリューションズ部門は22.2%それぞれ増えた。インダストリアル・ソリューションズ部門は昨年10月の再編で造船子会社のティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)を切り離しており、TKMSは15.9%拡大している。一方、主力のマテリアル・サービス部門は8.9%縮小。欧州の鉄鋼事業は5.8%落ち込んだ。
グループの受注高は102億1,900万ユーロと3%減少。本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)は2億2,600万ユーロと32%減り、これをベースとする利益率は2.1%と1年前から1ポイント低下している。
ティッセンクルップは、エレベーター事業の新規株式公開(IPO)を、市況にもよるが10月に開始する方針を明らかにした。これは同社が5月、インドの鉄鋼大手タタ・スチールと欧州鉄鋼事業を統合する計画を断念したことに伴う事業戦略見直しの一環で、かねて計画が進められていた。また、今回の結果を受けて、自動車のシャシー部品やシステムエンジニアリングなどに使用されるばねやスタビライザーを手掛ける3事業の売却を検討しているという。
通期については、特別損益を除くEBITが8億ユーロ程度と、従来予想の11億~12億ユーロから下方修正。純利益は赤字が続くとみる。
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