英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は6日、エボラ出血熱とマールブルグ出血熱のワクチン開発を今後は米サビン・ワクチン研究所が進めることで合意したと発表した。エボラ出血熱は感染力は高いものの希少疾病であり、製薬会社にとっては採算の見込みが薄く、これ以上の投資が困難になったためとみられる。
GSKは、エボラ出血熱のワクチン2種とマールブルグ出血熱のワクチン1種を開発してきた。今回の合意により、サビンはこれら3種のワクチン開発に関わる全ての技術と特許の一部を譲り受ける。これに関する金銭的な取り決めはないという。サビンは今後、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のワクチン研究センターと共同で開発を進める。
GSKのエボラワクチンの一つである「ChAd3」は、NIAIDがスイスの製薬会社オカイロス(Okairos)と共同で開発した。GSKは2013年に同社を買収。アフリカでの第2相臨床試験を終え、感染拡大の抑止力になると期待されていた。だが、最終段階である第3相臨床試験に際し、2014~2016年の集団感染での患者数が減ったため実施できず、GSKは開発を中断していた。
エボラワクチンを巡っては、米メルクとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も開発を進めており、臨床試験でGSKよりも成果を上げている。メルクが開発したワクチン「VSV EBOV」は現在、感染が拡大するコンゴ民主共和国で使用されている。
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