独製薬・化学大手バイエルは26日、米国での除草剤を巡る訴訟対策を強化するため監査役委員会を設置するとともに、同委員会のアドバイザーとして新たに米国の弁護士ジョン・ベイズナー氏を起用すると発表した。調停者として弁護士のケン・ファインバーグ氏も指名しており、原告側との和解に向けて姿勢を軟化させる動きとみられている。
バイエルは昨年、米農業化学大手モンサントの買収を完了。ただ、モンサントの除草剤「ラウンドアップ」の発がん性を巡る米国での訴訟を抱えることになり、訴訟件数は1万3,400件に達している。昨年10月と今年3月にはカリフォルニア州の裁判所で発がん性を認める評決が下されたほか、5月にも同州の別の裁判所がバイエルに20億ドル超に上る巨額の賠償金の支払いを命じる評決を下した。同社は除草剤の安全性に問題はないとして、原告との和解に応じる可能性を否定している。しかしバイエルの株価は過去1年間で30%以上も下落し、株主の間では不満が強まっていた。
新たに設ける監査役委員会は、訴訟の状況を監視し取締役会と協議するとともに、訴訟戦略について提言を行う。同社は、「監査役会は訴訟の先行き不透明感が株価と株主の見方に与える悪影響を認識しており、断固としながらも慎重に事態を前進させることを決意した」と説明している。
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