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欧州委、ティッセン統合却下 印タタとの欧州鉄鋼事業巡り

欧州委員会は11日、ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップとインドの鉄鋼大手タタ・スチールの欧州鉄鋼事業の統合を禁止すると発表した。両社は既に、同委から承認を得る見通しが立たないことを理由にこの計画を取りやめている。

欧州委は、両社が炭素鋼版と食品やスプレー缶などに使われる包装用金属被覆鋼、自動車産業用のめっき鋼の各市場で上位につけることから、統合によりこれら市場の競争が阻害され、価格が上昇すると判断した。同委のマルグレーテ・ベステアー競争担当委員は、「鉄鋼は缶詰や自動車など日常に使用する多くの製品に欠かせず、何百万人もが鉄鋼産業で働く上、多くの輸出企業が安価な鉄鋼製品に依存している」としている。

同委員が今年に入り大型M&A(企業の買収・合併)案件の承認を拒否するのは、独産業電機大手シーメンスと仏重電大手アルストムの鉄道事業の統合計画と、独伸銅大手ウィーランド(Wieland)による独産銅大手アウルビスの一部事業の買収計画に続き3件目となる。

ティッセンクルップとタタ・スチールは昨年7月、欧州鉄鋼事業を統合することで最終合意し、オランダのアムステルダムに折半出資の合弁会社を設立する計画だった。実現すれば世界最大手アルセロールミタル(ルクセンブルク)に次ぐ欧州で鉄鋼業界2位に浮上する見通しだったが、欧州委が昨年10月に本格調査を開始。同委の懸念を解消するために譲歩案を提出したものの承認獲得のめどが立たず、5月中旬に計画を断念していた。ティッセンクルップはこれを受け、約6,000人を整理する計画。また事業の2分割計画を中止するとともに、エレベーター事業の新規株式公開(IPO)を実施する方針も打ち出している。[M&A][EU規制][労務]


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