オーストリアのクルツ首相は18日、自身が率いる第1党で中道右派の国民党(OVP)が極右の自由党(FPO)との連立を解消すると発表した。FPO党首のシュトラッヘ副首相が、汚職疑惑を受け辞任したため。これを受け、ファンデアベレン大統領は、9月上旬に国民議会(下院)選挙を行う考えを示した。
シュトラッヘ氏を巡っては、ドイツのメディアが17日に公開したビデオで、汚職の疑惑が浮上。同氏は2017年の国民議会選挙の直前に撮影されたとされるこのビデオで、ロシア人投資家を名乗る女性が現地紙クローネン・ツァイトゥングへの出資を通じてFPOに有利な世論を形成するのと引き換えに、公共入札で便宜を図る意向を示していた。シュトラッヘ氏はこれについて、酒に酔っていた時の発言とした上で、「愚かで無責任だった」とコメント。党首と副首相を辞任する意向を明らかにしていた。
クルツ首相はこれに対し、「口には出さなかったが、FPOにはこれまでにも数々の不満を感じていた」とした上で、「このビデオで我慢が限度に達した」と話している。ファンデアベレン大統領は、「憲法で許される限りできるだけ迅速に新たなスタートを切る必要がある」と述べ、9月上旬の総選挙実施を呼び掛けた。
総選挙では、OVPが票を伸ばすとの見方が強い。2017年の選挙では、OVPが得票率31.5%で与党だった社会民主党(SPO)を破り、第1党に躍り出たものの、単独では過半数に及ばず、得票率26%で第3党に躍進したFPOと連立政権を樹立していた。
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