米カリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所の陪審団は13日、独製薬・化学大手バイエルが買収した米農業化学大手モンサントの除草剤「ラウンドアップ」が原因で原告夫婦が共にがんを発症したとして、同社に20億ドル超の支払いを命じる評決を下した。バイエルが同除草剤の発がん性を巡る裁判で賠償を求められるのは、今回が3度目。同社は上訴する意向を示している。
共に70代の原告夫婦は、自分達が非ホジキンリンパ腫を発症したのは「ラウンドアップ」を使用したためと訴えていた。陪審は、モンサントがこの除草剤に関するリスクの警告を怠ったとして、損害賠償5,500万ドルと、夫婦それぞれに10億ドルの懲罰的賠償の支払いを命じた。
これに対しバイエルは、原告は2人とも非ホジキンリンパ種のリスク要因となる既往症を抱えていたと指摘。陪審評決は「過度で正当化できない」と反論している。
バイエルは昨年、モンサントの買収を完了し、種子・農薬市場で世界シェアの4分の1以上を握る巨大企業となった。ただ、モンサントの除草剤を巡る米国での訴訟件数は1万3,400件に達している。「ラウンドアップ」を巡っては、昨年10月と今年3月にもカリフォルニア州の別の裁判所で発がん性を認める評決が下され、それぞれ7,800万ドル、8,030万ドルの損害賠償を命じられている。こうした中、バイエルの株価はモンサントの買収取引完了後に40%以上下落しており、株主の間では不満が強まっている。[M&A]
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