英競争・市場局(CMA)は25日、スーパー英2位セインズベリーによる米ウォルマート傘下の英3位アズダの買収計画について、これを却下したと発表した。調査の結果、合併後に価格上昇や取り扱い品目の減少、サービスの質低下が懸念されると判断したため。これを受け、両社は統合計画を断念すると明らかにした。
CMAは、合併により全国レベルでも地域レベルでも競争が低下すると分析。両社の店舗が重複する地域だけでなく、英国全土の買い物客に影響を及ぼす恐れがあるとした。また、オンライン販売でも価格上昇や配達オプションの減少が懸念されると指摘。それぞれが運営する給油所の距離が近い125カ所以上で、値上がりが予想されるという。
CMAは今回、ドイツ系格安スーパーのアルディやリドルの英市場での台頭や、オンライン販売市場への企業の新規参入など、市場競争の状況も考慮した。また、セインズベリーとアズダが懸念への対応策として提示した計10億ポンド分の価格引き下げ案についても、最終的には市場動向により値上がりにつながると結論付けた。
セインズベリーとアズダはこれを受け、共同声明を発表。セインズベリーのマイク・クープ最高経営責任者(CEO)は「合併の本意は顧客のための値下げで、CMAの結論は英国の食品市場のダイナミクスと競争の激しさを無視している」と述べ、顧客は事実上、10億ポンドを奪われることになったと批判した。
セインズベリーは昨年4月、アズダを約73億ポンドで買収することで合意。取引が実現すれば、総店舗数は2,800店舗、市場シェアは31.4%と、長年にわたり首位に立つテスコを抜いて業界最大手に躍り出るはずだった。[M&A]
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