ソフトバンクグループは、独決済サービス大手ワイヤーカード(Wirecard)・グループの転換社債に約9億ユーロを投資するとともに、戦略的提携を結ぶことで合意した。これによりソフトバンクは、5年後にワイヤーカードの株式を約5.6%取得する可能性がある。ワイヤーカードが24日明らかにした。
転換社債はソフトバンクだけを対象に発行し、期間は5年間。5年後に現時点の発行済み株式の約5.6%に相当する株式を1株当たり130ユーロで取得できる。出資比率はマーカス・ブラウン最高経営責任者(CEO)に次ぐ規模となる。転換社債の発行は6月18日に開く年次株主総会での承認が必要となる。
両社の提携では、ソフトバンクがワイヤーカードの日本や韓国への事業拡大を支援するとともに、デジタル決済やデータ分析・人工知能(AI)など革新的なデジタル金融サービスにおけるソフトバンクの国際的な展開で協力する機会を提供する。またデジタル融資の分野で、両社は新たな商品やサービスの共同開発も進める。
ワイヤーカードの株価は1月末、シンガポール事務所での不正会計疑惑を英フィナンシャルタイムズが報じて以来、約40%下落。ワイヤーカードは当初から不正を否定しており、3月にはフィナンシャルタイムズをミュンヘン地方裁判所に提訴した。独連邦金融サービス監督庁(BaFin)も先に、不正な市場操作の疑いで10人余りをミュンヘンの検察当局に刑事告訴している。こうした中でソフトバンクが投資を決めたことは、ワイヤーカードに対する投資家の信頼感回復につながるとみられる。[日本企業の動向]
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