英大手百貨店デベナムズは9日、FTIコンサルティングの3人を管財人に指名したと発表した。債権団に資産を売り渡すプレパッケージ型破産手続きに入っており、事業は継続される。デベナムズに29.7%出資する英スポーツ用品販売大手スポーツダイレクト・インターナショナルはかねて、経営権取得に向けて救済案を提示していたが、これは拒否した格好だ。
今回破綻したのはデベナムズの持ち株会社で、実際の運営を担うデベナムズ・リテールなどは引き続き営業する。サプライヤーや従業員、年金保有者、顧客はいずれも運営会社に関わるため、株主に影響はないと強調している。デベナムズは3月、既存債権団から2億ポンドの資金調達を行う再建計画を発表。これが適用されると同時に、デベナムズは業績回復に向けて店舗網の刷新などに取り組む方針だ。
BBC電子版によると、デベナムズが保有する全166店舗のうち、50店舗程度が将来的に閉鎖される見通し。従業員数は約2万5,000人で、各店舗の賃貸料についても再交渉しているという。ただ、どの店舗が閉店対象になるかは明らかにされていない。
同社の債権団には英金融大手バークレイズ、バンク・オブ・アイルランド、米ヘッジファンドのシルバー・ポイント・キャピタル、資産運用の米ゴールデンツリー・アセット・マネジメントなどが名を連ねている。
スポーツダイレクトのマイク・アシュリー最高経営責任者(CEO)は先に、同氏をデベナムズのCEOに就任させることを条件とした買収を提案。8日には1億5,000万ポンド、9日には2億ポンドの資金注入を申し出たが、債権団は拒否していた。一方で今回の手続きに伴い、ロンドン証券取引所(LSE)でのデベナムズ株の取引は中断。10日には上場廃止されるため、アシュリー氏の保有するデベナムズ株は無効化するようだ。[M&A]
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