政府は8日、インターネット上でのテロの扇動や児童の性的搾取といった違法行為や有害活動の防止を目的とする新規制の枠組み案を公表した。ソーシャルメディアや検索エンジンなどの運営企業を対象に新たに法的な注意義務を課し、これを怠った企業とその上級幹部には罰則を科す方針。独立の新監督機関を設置する案も打ち出し、「自己規制の時代は終わった」と宣言している。
政府はこの日公表した「オンライン害に関する白書」の中で、テロの扇動や児童の性的搾取といった違法行為に加え、偽情報や過激主義的コンテンツの投稿、オンラインいじめなど違法ではないが有害性の高い行為を「オンライン害」と定義。これらの撲滅に向け、ソーシャルメディアやメッセージング、検索エンジン、オンラインストレージ、オンラインフォーラムなど幅広い分野のテクノロジー企業に「合理的で適切な対策」を法的に義務付ける案を打ち出した。
これに向け、業界の出資により独立の新監督機関を設置し、テクノロジー企業向けの行動規範を策定する方針。これに違反した企業には罰金が科されるほか、英国での事業を禁止される可能性もある。また、こうした企業の上級幹部も個人的な責任を問われる見通し。BBC電子版によると、違反企業への罰金は売上高の最大4%となる可能性がある。
ジェレミー・ライト・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は、「オンライン企業による自己規制の時代は終わった」と明言。「オンライン害の撲滅に向けた業界の自主的措置は適用に一貫性がなく、内容も不十分だった」と話している。政府は7月1日まで意見公募を行った上で、最終的な法案を策定する。
英国では2017年に自殺した14歳の少女が写真共有サービスのインスタグラムで自傷行為に関するコンテンツに晒されていたことが発覚し、問題となった経緯がある。テクノロジー企業に対しては多くの国が規制に乗り出しているが、これらの規制が導入されれば、対象範囲の広さや厳格さで他国を上回る見通し。
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