独金融最大手ドイツ銀行と国内2位のコメルツ銀行は17日、合併に向けた交渉を開始することで合意したと正式に発表した。両社を巡ってはかねて、強力な国内銀行を求める政府の後押しで合併を検討していると報じられていた。取引が実現すれば、資産規模で仏金融大手BNPパリバに次ぐユーロ圏2位の銀行が誕生することになる。
コメルツ銀はこの日、「ドイツ銀と合併の可能性について結果にはこだわらず協議を開始することで合意した」と発表。一方、ドイツ銀も「コメルツ銀と協議を行っていることを認める」との声明を出したが、取引が成立するかどうかは確実ではないとしている。ドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は併せて公開した従業員向けのメッセージで、「経済的に意義のある選択肢のみを追及する」と強調。「経験上、こうした合併取引を妨げたり阻止する経済的、技術的要因が数多く浮上する可能性もある」としている。
ドイツのシュルツ財務相はかねて、国内金融部門の強化と巨大銀行の創設を唱え、両行に合併の検討を求めていたとされる。コメルツ銀は金融危機の際に公的資金による救済を受け、現在も政府が15.5%を出資する。同行は業績不振により2020年までの財務目標の大半を放棄していた。一方、ドイツ銀はこれまで合併には慎重で、昨年4月に就任したクリスティアン・ゼービングCEOも抵抗していた。しかし減収傾向が続き、株価が5年前に比べて4分の1以下で低迷する中で、一部株主からは合併を求める声が強まっていた。
両行の合併取引が成立すれば、合わせて1万人以上が削減される可能性もあり、労組の反対は必至と見られている。[M&A]
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