欧州連合(EU)の経済・財務相理事会(ECOFIN)は12日、インターネット企業など大手IT(情報技術)企業に対するデジタル課税の導入を見送ることを決めた。アイルランドなど一部加盟国が根強く反対しているためで、経済協力開発機構(OECD)を通じた世界的なデジタル課税導入を待つ方針。ただ、フランスやイタリアなどデジタル課税を支持する加盟国がしびれを切らし、単独での課税に踏み切る動きが加速しそうだ。
デジタル課税案は、欧州委員会が2018年3月に示したもの。米インターネット検索エンジン大手グーグルや米ソーシャルメディア大手フェイスブック(FB)、米オンライン販売大手アマゾンなどの多国籍デジタル企業を対象に、EU域内でのオンライン広告などの売上高に3%の新税を科す内容だった。現行のEU法では、こうした企業は利益を税率の低い国の子会社に移転し、納税額を低く抑えることができる。この結果、こうした企業の実効税率は約10%以下と、従来型企業の半分を下回り、批判の的となっている。
ただ、企業誘致に向け法人税率を低く設定しているアイルランドに加え、スウェーデンとデンマークがかねてこの案に反対していた。EUの税法の決定には、加盟28カ国の全会一致での承認が必要となる。これに対し、フランスとイタリア、英国、スペインは独自に同様の新税を導入する方針を示している。
EUは今後、OECDを通じて同様の課税案を巡る国際的な合意を目指す。ロイター通信によると、2020年までにこうした合意がまとまらなかった場合には、再びEU域内でのデジタル課税案を協議する方針。[EU規制]
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