ノルウェー政府は8日、北海の石油生産を原資とする同国政府系ファンド、政府年金基金グローバル(GPFG)について、石油・ガス関連の持ち株を放出すべきとの見解を示した。原油市場への依存を低減する狙いだが、世界最大の政府系ファンドによる放出は、化石燃料業界の逆風となりそうだ。
ノルウェー政府は今回、エネルギー業界内の探査・生産企業に該当する企業をGPFGのベンチマーク指数から除外する方針と説明。理由について「原油価格がノルウェー経済にもたらすリスクを軽減させるため」とし、原油価格の低下がもたらす脆弱(ぜいじゃく)性を回避する考えだ。なお、エネルギー業界における事業分野がより広範囲な企業は、除外対象に含まれない。
GPFGを管理するノルウェー中央銀行投資運用局(NBIM)は2017年11月、GPFGは石油・ガス関連株への投資から手を引くべきとの見解を明らかにしていた。政府はNBIMが当時提示した発言と同様、「将来的な石油・ガス価格の動きや、同セクターの収益性や持続可能性に関する特定の見方を反映したものではない」と強調している。
NBIMによると、2018年末時点でGPFGが持つ探査・生産企業の株式は660億ノルウェークローネ(75億8,200万ドル)相当と、同基金の保有株全体の1.2%を占める。財務省とノルウェー中銀は今後、議会での承認を経て計画実施案を策定する。株の放出は段階的に行われる見通しだ。なお、政府は石油・ガスでノルウェー最大手のエクイノール(旧スタットオイル)の株式や石油企業に対する沖合い権益(SDFI)は放出しないと念を押している。
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