英競争・市場局(CMA)は20日、スーパー英2位セインズベリーによる米ウォルマート傘下の英3位アズダの買収計画について、合併後に価格上昇や取り扱い品目の減少、品質やサービスの質低下が懸念されるとの見解を明らかにした。CMAが取引を却下するか、両社に一部資産の売却を命じる可能性がある。
CMAはこの日、正式調査の第2段階に関する報告書を公表。合併により英国全土の店舗・オンライン販売の顧客体験の質が低下する恐れがあるとした。また、それぞれが運営する給油所でも価格上昇が予想されるとしている。CMAは昨年9月に発表した第1段階調査の結果として、463地域で両社の店舗が重複しており、地方だけでなく全国で競争が阻害される恐れがあると結論付けていた。
CMAは両社に対し、3月13日までに回答と対応策を提出するよう要請。最終判断は4月30日までに下される予定だ。
セインズベリーとアズダはこれを受け、共同声明を発表。今回の調査報告は昨今の英国の食品市場における競争の激しさや消費者の購買傾向について根本的に誤解しており、CMAの分析は比較事例との一貫性がないと批判した。また、両社の統合は「大幅なコスト削減につながり、これにより価格の引き下げが可能になる」と取引の正当性を主張している。
セインズベリーは昨年4月、アズダを約73億ポンドで買収することで合意。買収取引が実現すれば、総店舗数は2,800店舗、市場シェアは31.4%と、長年にわたり首位に立つテスコを抜いて業界最大手に躍り出る見通しだ。[M&A]
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