英格安航空大手フライビーは7日、航空大手ヴァージンアトランティック航空など3社が参画するコンソーシアム「コネクト・エアウェイズ」への身売りを株主が拒否した場合、事業を清算する方針を明らかにした。その場合、同社株は価値を失うとして、株主に取引を承認するよう強く勧告。買収提示額が低いとして反発する株主に、最後通牒(つうちょう)を突きつけた格好だ。
フライビーは1月11日、コネクトに220万ポンドで身売りすることで合意した。取引の成立には株主の承認が必要となるが、この取引額は1株当たり1ペンスに過ぎず、一部株主は提訴の構えも示している。
ただ同社はその後、金融機関からのつなぎ融資獲得に失敗したため、1月15日には事業子会社であるフライビーとオンライン事業のフライビー・ドットコムをコネクトに計280万ポンドで売却することで合意。これにより、コネクトからただちにつなぎ融資を受け、破綻の危機を免れていた。事業子会社2社の売却には株主の承認は不要なため、2月22日には取引が成立する運び。この結果、親会社のフライビーは資産を持たないペーパーカンパニーとなる。
同社の取締役会は今回、株主に対し、1株当たり1ペンスの買収提示額は「低く遺憾」とした上で、株主が身売りを拒否すれば親会社を清算する方針を示した。そうなれば、事業子会社2社の売却益は取引や事業清算の経費に費やされるため、株主の手元に資金は残らないと説明。株主に対し、3月4日の株主総会で親会社の身売りを承認することを強く勧めた。
コネクト・エアウェイズはヴァージンのほか、インフラサービス会社ストバート(Stobart)・グループ、投資会社サイラス(Cyrus)・キャピタルから成る。出資比率はヴァージンとストバートがそれぞれ30%、サイラスが40%。フライビーは、地方航空会社としては英国最大手だが、燃料価格の上昇や需要減、通貨ポンド安、競争激化などを理由に経営難に陥っていた。[M&A]
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