独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)と米フォード・モーターは15日、包括的な戦略的提携を結ぶと正式発表した。競争力の向上が狙いで、まずは商用車で協業し、電気自動車(EV)や自動運転車、モビリティーサービスなどにも対象を広げる方針だ。
VWとフォードの提携はかねて報じられており、今回、14日から米デトロイトで開催中の北米国際オートショー(NAIAS)で詳細を明らかにした。両社は早ければ2022年からグローバル市場向けに中型ピックアップトラックを販売し、その後に欧州市場にも商用バンを投入する方針。協業により2023年以降は事業規模が拡大し、効率化が図れるほか、通年での税引き前利益が改善されるとしている。
両社はまた、自動運転車、モビリティーサービス、EVでの協力の可能性を模索する覚書(MOU)を締結。さらなる協業拡大にも前向きで、作業部会が向こう数カ月以内に詳細を決めるもようだ。なお株式交換などは行わず、アライアンスはVWのヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)とフォードのジェームス・ハケットCEOが率いる共同委員会によって運営されると説明している。
■VWは米にEV生産拠点
VWはこの日、米国テネシー州のチャタヌーガ(Chattanooga)工場を、同国市場向けEVの生産拠点とすると発表した。8億ドルを投資し、VWのEV用モジュラープラットフォーム「MEB」をベースとした生産体制を整える。
同工場は最大1,000人を追加雇用し、2022年にEV生産を開始する予定。最初のモデルは、クロスオーバー・スポーツタイプ多目的車(SUV)「I.D. CROZZ」となる。また、向こう数年で欧州と北米、中国の計8カ所にMEB工場を建設する計画だ。
VWは2022年末までにEVの生産拠点を世界全体で16カ所に増やすほか、2023年までにeモビリティーや自動運転などの新技術に440億ユーロを投資する考えを明らかにしている。また、2025年までにEVの年間販売台数で100万台を突破する目標を掲げる。[環境ニュース]
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