インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)は10日、英国内外で4,500人を整理すると発表した。経営構造を簡素化するため、向こう18カ月で25億ポンドのコスト削減とキャッシュフロー改善を目指す戦略の一環。中国市場での不振などが背景にある。
今回影響を受けるのは主に事務職で、希望退職者を募る予定。2018年には1,500人を削減しており、これに続く動きとなる。昨年11月には生産の一部をスロバキア工場に移管することに伴い、ウエストミッドランズ州のソリハル(Solihull)工場で従業員約200人を整理する方針を明らかにした。
JLRにとり中国は最も重要な市場だが、過去数カ月は伸び悩み、2018年12月の販売台数は前年同月比42.4%減少。通年でも21.6%落ち込んだ。同社は他にも、欧州のディーゼル車需要の低迷や英国の欧州連合(EU)離脱後の競争力に関する懸念を人員削減の理由としている。JLRは新たな電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の開発に注力しているものの、依然としてポートフォリオの9割がディーゼル車だ。
■フォードも欧州事業を見直し
米自動車大手フォード・モーター傘下の欧州フォードもこの日、欧州事業の再編に向けて労組や主要株主との交渉を開始したと発表した。収益性の向上や構造的コストの削減が狙い。
フォードは今回、仏自動車部品子会社フォード・アキテーヌ・インダストリーズ(FAI)がフランス南西部ボルドー近郊の自動変速機(AT)工場を今年8月で閉鎖すると公表。ドイツ南西部のザールルイ(Saarlouis)工場の事業所委員会とは、「C―MAX」の生産終了を巡って協議している。また、露ソラーズ(Sollers)との合弁会社フォード・ソラーズについても戦略的見直しを行っているほか、英国事業本社と傘下のフォード・クレジット・ヨーロッパ(FCE)の本社を、イングランド南東部エセックス州にある技術センターに統合する方針を示している。[労務]
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