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会計とコンサル業務の分離を 英当局、会計業界の改善案提示

英競争・市場局(CMA)は18日、会計業界の競争環境や健全性に関する調査報告書を公表し、業界に対する改善案を提示した。会計業務に専念するため、コンサルティング業務を法的に分離することが提案されている。この日には、財務報告評議会(FRC)について政府が委託した調査の報告書も公表されており、会計業界に厳格な規制を導入する道筋が示された。

会計業界を巡っては、建設大手カリリオンの経営破綻問題を調査した英下院の民間企業・エネルギー・産業戦略委員会と雇用・年金委員会が、「競争不足によるなれ合いから監査機能を果たしていなかった」と指摘。これを受けてCMAは10月に、4大会計事務所のKPMGとプライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト、アーンスト&ヤング(EY)を中心とした調査に着手していた。

報告書では問題点として、◇企業が監査会社の選択で厳しく精査する会社ではなく相性などで選んでいること◇選択肢が極端に限られ大手企業では4大会計事務所が97%を占めること◇4大会計事務所では売上高の75%以上をコンサルタント業務など他のサービスが占めるため監査業務に対する質が軽視されていること――などを指摘した。

その上で主な改善策として、◇監査業務の独立性を高めるため監査部門をコンサルタント業務など他のサービス部門から法的に分離すること◇監査会社を選ぶ者の説明責任と独立性を高めるため監査会社の指名と管理に規制上の措置を導入すること◇ロンドン証券取引所(LSE)のFTSE350構成企業の会計監査には2社以上の監査会社を指名し、このうち1社は4大会計事務所以外とすること――の3点を挙げた。CMAは来年1月末まで改善案に対する意見を募るが、4大会計事務所の分割のほか監査できる大手企業の数を制限することも辞さない方針だ。

CMAは、この案について来年1月21日まで一般からの意見を募る。

一方、FRCに関する報告書は政府に対して、FRCを解体し新たに権限の強い独立した規制当局を設けるよう提案した。報告書では、FRCは継ぎはぎだらけの組織であり、基盤がぜい弱と指摘。幹部要員の採用も不適切なほか、利害対立に対する取り組みに一貫性がなく、透明性に欠け、情報漏えいの損害阻止も怠ったと批判している。新たな規制当局の運営資金については、会計業界に負担を義務付けることも提案している。

会計業界に対しては、政府が委託した別の報告書と下院の民間企業・エネルギー・産業戦略委員会の報告書も数カ月内に公表されることになっている。


関連国・地域: 英国
関連業種: 金融サービスマクロ・統計・その他経済

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