ロンドンで2019年1月、電気自動車(EV)3,000台を用いた過去最大規模の実証実験プロジェクトが始まる。商用車のEV化が電力インフラに及ぼす影響を見極める目的で、日立製作所の米子会社日立ヴァンタラ(Vantara)が主導する。英郵便大手ロイヤル・メール・グループや米配車サービス大手ウーバー(Uber)などの参画企業が実際に運行するEVのデータを収集し、最適な充電設備網や電力供給のあり方を探る。
プロジェクトの名称は「オプティマイズ・プライム」。2022年2月までの3年にわたり、運転手の行動習慣や走行状況のデータを収集・分析し、充電施設の最適な配置を考案したり、電力需要のピークを把握する上で役立てる。実証実験の結果は関連業界で共有し、企業や政府の投資や意思決定に生かす。
同プロジェクトの資金は総額3,470万ポンド。参画企業が合わせて1,800万ポンドを出資し、残りをエネルギー業界の監督機関Ofgemが提供する。主導役の日立ヴァンタラは、モノのインターネット(IoT)やビッグデータを手掛けるデジタルソリューション企業。日立傘下ではこのほか、日立ヨーロッパなども参画する。また、英配電会社UKパワー・ネットワークスやガス・電力大手セントリカなども同プロジェクトに参画している。
実証実験地に英国が選ばれた背景には、同国政府がEV化を推進していることがある。英政府は新車販売台数にEVが占める比率を現在の1.7%から2030年までに60%に引き上げる目標を掲げる。商用車は新車販売の58%を占め、これらがEV化されれば電力網へのかなりの負担増加が予想されるが、こうした影響についてはこれまでほとんど研究が行われていない。[環境ニュース][日本企業の動向]
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