大手会計事務所KPMGは同社が会計監査を担当している英国の大企業に対し、コンサルティングなどのサービスの提供を停止するもようだ。同社を含む4大会計事務所の監査の質が疑問視され、分割を求める声が上がっていることを受けた措置。KPMGのビル・マイケル会長がパートナー社に宛てた文書を元に、BBC電子版などが伝えた。
同会長はこの文書で、ロンドン証券取引所(LSE)のFTSE350種指数を構成する大手企業で、同社が会計監査を担当している企業に対しては、監査以外のサービスの提供を取りやめる準備を進めていると明らかにした。1つの企業から監査とコンサルティングの両方を引き受けることによる「利益相反の疑いを取り除くため」と説明している。フィナンシャルタイムズによると、これが実行されれば同社は7,900億ポンドの売り上げを失うことになる。
KPMG、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト、アーンスト&ヤング(EY)の4大手会計事務所を巡っては、建設大手カリリオンの経営破綻を機に、監査機能を適切に果たしていないとの批判が高まっている。6月には監査業界の監督機関である英財務報告評議会(FRC)が、4社の監査の質は低下しており、特にKPMGの質の低下は「容認できないレベル」と指摘。10月には英競争・市場局(CMA)が調査に着手し、4大会計事務所の分割も含めたあらゆる是正策を検討する方針を示している。
こうした中、デロイトも同社が監査を担当しているFTSE350構成企業や公共性の高い企業への監査以外のサービス提供を取りやめることや、一部サービスで自ら市場シェアの上限を定めることなどを検討している。また、PwCも、監査を引き受ける顧客企業へのその他サービスの提供を制限する必要性を認めている。
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