米連邦取引委員会(FTC)は22日、独産業ガス大手リンデ・グループと米同業プラクスエア(Praxair)の合併について、リンデが米国事業の一部を売却することを条件に承認すると発表した。欧州委や中国当局は既に計画を承認しており、取引成立が近づいた形だ。
FTCは、両社の合併により米国で酸素、窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素、バルクの液体ヘリウム、エキシマレーザー用の混合ガス、石化産業向け水素、一酸化炭素の合成ガス(HyCO)の分野で競争を阻害する可能性があると指摘。リンデが米国に保有する該当事業を独同業メッサー(Messer)・グループと英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから成るコンソーシアムに売却するよう求めたほか、HyCO施設5カ所を米同業マチソン(Matheson)・トライガスに、別の2カ所を他企業にそれぞれ引き渡すことを命じた。
FTCによると、リンデとプラクスエアは4カ月以内にこれらの要件を満たすことで合意している。リンデは今回の決定を受け、合併から向こう3年間のシナジー効果を当初見通しの12億ドルから11億〜12億ドルに下方修正した。
リンデとプラクスエアは昨年6月、対等合併で正式合意。実現すると、仏エアリキードを抜き業界最大手が誕生する。承認獲得に向け、両社は、プラクスエアの欧州11カ国の事業を、50億ドルで大陽日酸に売却することで合意。また、メッサーらと、米国の一部事業売却で協議を進めていた。[M&A][日本企業の動向]
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