英蘭資本の食品・家庭用品大手ユニリーバは、オランダに本社を一本化する計画を撤回した。英国側の主要株主が相次いで反対を表明したため。同社はロンドンとロッテルダムの2カ所に本社を置く現体制を廃止し、新たにオランダで持ち株会社を設立する計画だった。
同社は「一部の主要株主がこの案を支持しておらず、計画を撤回することが妥当とみなした」と説明。ただ、「2本社体制の簡素化は、当社の長期的利益を高めるとなお確信している」と強調し、「今後の措置を検討し、株主との対話を続ける」としている。
この計画には、英保険大手アビバの資産運用部門アビバ・インベスターズや英投資会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ(CSI)など、ユニリーバ株の計12%を握る株主が公に反対していた。これらの株主は、プレミアムなしで持ち株売却を強いられる可能性や、オランダでの配当を巡る今後の税制上の扱いの不透明感を懸念していたほか、この計画の狙いの一部が、企業買収に関してより保護的なオランダ法で同社を買収から防衛することにあるとして不満を表明していた。
ユニリーバは9月、現在の英蘭法人の上場を12月に廃止し、オランダで設立する持ち株会社をロンドンとアムステルダムで上場する方針を発表。ただこれを実現するには、10月に開かれる英蘭法人それぞれの株主総会において、英国で75%、オランダで50%の支持を得る必要があった。
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