ドイツ政府は2日、旧式ディーゼル車の排ガス低減策を巡り、連立政権内で合意した内容を公表した。二酸化窒素(NO2)による大気汚染が深刻な14都市を対象に、旧式ディーゼル車の所有者に買い替え制度か車両の改修制度の選択肢を提供する。これにより各都市にディーゼル車の乗り入れ禁止措置が広がるのを回避したい考えだ。
対象となるのはミュンヘン、シュツットガルト、ケルン、ハンブルク、デュッセルドルフなど。買い替え制度では、旧式ディーゼル車を新型車に買い替える場合に、割引価格で購入できる。一方、車両の改修制度では、排ガスを低減するため旧式車に新型装置を設置する。買い替え制度はすぐにも利用できるが、車両の改修制度は自動車メーカーとの合意までに時間がかかるという。
自動車メーカーは買い替え制度には協力姿勢を示しており、ダイムラーが1台当たり最大で5,000ユーロ、BMWが6,000ユーロなどを拠出する意向を示している。しかし車両の改修に対しては、費用がかさみ手間もかかることから抵抗してきた。ショイアー運輸相によると、フォルクスワーゲン(VW)は改修を支援することで合意しているものの詳細は決まっておらず、ダイムラーは検討するとしつつも、現段階では買い替え制度に集中する方針を示しているという。なお、政府は、14都市のごみ収集車など一部の重量車や配送用バン、トラック、その他商用車については改修費用の80%を負担することを約束している。
ドイツの連邦行政裁判所(行政訴訟の最高裁に相当)は9月、フランクフルト市に対し、2019年2月以降、EUの排ガス基準「ユーロ4」に準拠する旧式ディーゼル車の乗り入れを禁止するよう命じた。ハンブルクでは既に一部で乗り入れ禁止が導入され、フランクフルトやシュツットガルト、デュッセルドルフなどでも導入が見込まれるなど、ディーゼル車の先行きを巡る不透明感が高まっていた。[環境ニュース][EU規制]
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