米メディア大手21世紀フォックスは26日、英衛星放送大手スカイの持ち株39.1%を、米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストに売り渡す方針を明らかにした。入札で敗れたフォックスがスカイ株を手放すかは不透明だったが、コムキャストにとってはこれにより、スカイの経営権の完全取得に向けた最後の障害が取り除かれた格好だ。
コムキャストは英国の買収委員会(テイクオーバー・パネル)が主催した入札で、スカイ株1株当たり17.28ポンドを提示し、21世紀フォックスの15.67ポンドを上回って、争奪戦を制した。フォックスは、コムキャストの提示額通りでスカイの持ち株を手放す意向。売却額は116億ポンドに上る。
フォックスは、スカイの持ち株を含むエンターテインメント資産の大半を約710億ドルで米ウォルト・ディズニーに売却することで合意しており、ディズニーも今回、スカイ株の売却に同意している。ディズニーは、フォックスから取得する地域のスポーツ放送網も手放す方針で、これらによりフォックスの資産買収で引き継ぐ約300億ドルの債務が軽減される見通しだ。
フォックスを率いる世界的なメディア王ルパート・マードック氏は1989年、英公共放送BBCに対抗する狙いでスカイを共同設立。同氏は設立当初の財務危機で一時は破産寸前に追い込まれたが、スカイは現在、足元の英国をはじめ、ドイツやイタリアなど欧州5カ国で2,300万件近くの顧客を抱える欧州有数のメディア会社へと成長した。マードック氏は今回の決定により、約30年に及ぶスカイの経営から完全に手を引くことになる。
コムキャストのブライアン・ロバーツ会長兼最高経営責任者(CEO)によると、スカイは買収完了後も、ジェレミー・ダロックCEOの指揮の下、独立した経営を続けるという。[M&A]
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