英衛星放送大手スカイの売却先を決める入札が22日に行われ、米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストが米メディア大手21世紀フォックスに競り勝った。コムキャストの応札額はスカイ株1株当たり17.28ポンドと、21世紀フォックスの15.67ポンドを上回り、スカイの企業価値を約306億ポンドと評価した水準。スカイは株主に、コムキャストによる買収提案を受け入れるよう推奨しており、同社をめぐる争奪戦にようやく決着がついた格好となる。
入札は、英国の買収委員会(テイクオーバー・パネル)が主催。同委員会は、両社によるスカイの争奪戦が過熱していたことを受け、入札による売却先の決定を指示していた。入札方式による売却先の決定は英国では珍しい。
スカイはコムキャストの提示額について「素晴らしい入札結果だ」とコメント。「(21世紀フォックスの提示額を)大幅に上回っており、これを受け入れることはスカイの株主にとって最大の利益となる」としている。一方、コムキャストのブライアン・ロバーツ会長兼最高経営責任者(CEO)も「当社にとって素晴らしい日だ」とこの結果を歓迎。スカイの買収により迅速かつ効率的な国際事業展開が可能になるとしている。
世界的なメディア王ルパート・マードック氏率いる21世紀フォックスは2016年12月、39.1%を出資するスカイの残り株を1株当たり10.75ポンドで取得することで合意。しかし、マードック氏が英国で既に大衆紙サンと高級紙タイムズを保有することから、英政府がメディアの多様性が損なわれる可能性を懸念し、英競争・市場局(CMA)による調査が開始された。こうした中、2018年2月にはコムキャストも買収に名乗りを上げ、両社による争奪戦に発展。今年7月には21世紀フォックスが1株当たり14ポンドに提示額を引き上げると、直後にコムキャストも1株当たり14.75ポンドへと条件を引き上げていた。
21世紀フォックスは、スカイの持ち株39.1%を今後、どうするかを検討中としている。[M&A]
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