英国の買収委員会(テイクオーバー・パネル)は20日、英衛星放送大手スカイを巡る米メディア大手21世紀フォックスと米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストによる争奪戦について、入札方式で売却先を決定すると発表した。スカイとその株主は、入札で両社が提示した条件に基づき、最終的な身売り先を決定する。
入札は21日午後5時(英国時間)から開始する。最大で3ラウンド実施し、22日夜に終了する見通し。1回目は事前の提示額が低かった方が、2回目は高かった方が新たな金額を提示する。決まらなかった場合、両社による3回目の応札が行われる。入札結果は24日午前7時までに明らかになる予定で、スカイは10月11日までに落札者を決定し発表しなければならない。入札は、ポンドでの現金による固定価格のみとなる。
スカイを巡っては、世界的なメディア王ルパート・マードック氏率いる21世紀フォックスが2016年12月にスカイの企業価値を185億ポンドと見積もった格好の買収案を提示。2018年2月にはコムキャストも買収に名乗りを上げた。今年7月に21世紀フォックスが総額245億ポンドに相当する1株当たり14ポンドへと提示額を引き上げると、コムキャストも直後に1株当たり14.75ポンドへと条件を引き上げ、買収総額は260億ポンドへと積み増されていた。
なお、21世紀フォックスとコムキャストはいずれも取引に必要な当局の承認を全て獲得している。入札による決着は、21世紀フォックスのエンターテインメント資産を買収することが決まっている米ウォルト・ディズニーを含む3社が合意している。
入札方式による売却先の決定は英国では珍しい。近年では2008年に行われたインドの鉄鋼大手タタ・スチールによる英蘭資本の鉄鋼メーカー、コーラス(Corus)の案件が知られている。[M&A]
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