欧州委員会は18日、独高級車大手BMWと自動車大手ダイムラー、同業フォルクスワーゲン(VW)が排ガス処理技術の開発や使用を制限するカルテルを結んでいた疑いがあるとして、本格調査に着手したと発表した。VWについては高級車部門アウディおよび高級スポーツカー部門ポルシェも調査対象となっている。
これら5社は、ディーゼル車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する尿素SCR(選択的触媒還元)システムと、ガソリン車でこれと同じ働きをするOPF(オットー粒子フィルター)の両技術について、結託して開発や使用を制限し、競争を避けていた疑いが持たれている。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー競争担当委員は「カルテルが証明されれば、メーカーがこうした技術を持っていたにもかかわらず、消費者は大気汚染の少ない車を買う機会を否定されていたことになる」と指摘している。
週刊誌シュピーゲルは昨年7月、独自動車大手5社が1990年代から排ガス処理技術の利用を制限することで密かに合意しており、こうした技術カルテルがVWの排ガス不正問題につながったと報道。欧州委はその際、カルテルの可能性について通報を受けたと明らかにし、10月には初期調査の一環として、BMWとダイムラー、VW、アウディを家宅捜索していた。
欧州委は今回、現段階ではこれら5社が排ガス不正ソフトの使用を巡る談合を行っていた証拠はないとしている。5社に対する本格調査に法的な期限はないが、同委はこれを「優先的に進める」としている。カルテルの調査には数年を要する場合も多く、カルテルが証明されれば、当該製品の世界売上高の最大10%の罰金が科される可能性がある。[環境ニュース][EU規制]
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