ドイツの消費者団体VZBVとドライバー団体のドイツ自動車連盟(ADAC)は12日、排ガス不正問題を巡り、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)を集団提訴すると発表した。11月1日に訴状を提出する予定で、200万人のディーゼル車オーナーが訴訟に参加するとみられる。
今回の訴訟は、EA189型ディーゼルエンジンが搭載されたVWブランド、傘下の高級車のアウディ、チェコ子会社シュコダ、スペインのセアトの車両を対象としている。VZBVは、故意に組み込まれた不正ソフトウエアによって消費者が被害を被ったとし、訴訟のモデルケースとする考えだ。
独政府は5月、消費者の企業に対する集団訴訟を可能にする法案を閣議承認。ドイツではこれまで集団訴訟の制度がなかったが、新法案により新たに集団訴訟に似た仕組みが導入される。消費者は個別に賠償請求を行う必要があるものの、消費者団体を通じて提訴するため裁判所に出向く必要はなく、モデルとなる判決が下されれば、その後の訴訟でもこの判決が法的拘束力を持つ。
VZBVは新法が施行される日に合わせて訴状を提出する形。この問題を巡るVWへの補償請求は今年末が期限とされているため、かろうじて間に合う格好だ。
VWの排ガス不正問題を巡っては、国内初の公判が10日に開始。原告は貯蓄銀行連盟(DSGV)傘下の投資会社デカ(Deka)で、投資家が株価下落による損害賠償を求めている。同様の訴えは約3,650件に上る。
VWはこれまでに、罰金やリコール(無料の回収・修理)費用、法務費用などで合わせて270億ユーロ以上を支払っている。[環境ニュース]
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