政府は11日、英中銀イングランド銀行のマーク・カーニー総裁の任期を2020年1月まで延長すると発表した。従来の任期は2019年6月末だったが、英国の欧州連合(EU)離脱後の経済安定化を見届けるため留任することで、ハモンド財務相と同氏が合意した。
同相は、「カーニー氏から7カ月の任期延長で同意を得られたことを嬉しく思う」とした上で、同氏の留任は「EUからの円滑な離脱を促し、英経済に必要不可欠な安定性をもたらす」との考えを示した。またカーニー総裁は「ブレグジットの成功と、イングランド銀の効果的な移行を促すため全力を尽くす」とコメントしている。
カナダ人のカーニー氏は外国籍を持つ初のイングランド銀総裁として2013年7月に就任。任期は通常8年だが、同氏は個人・家庭の事情を理由に5年とし、残りの3年はオプションとして引き受けた。ただ2016年にはブレグジットの決定を受け、2019年3月の離脱を見届けるため、任期を2019年6月末まで1年延長することを決めていた。
英国のEU離脱後の見通しが立たない中、イングランド銀総裁の後継者の確保は難航が予想されている。財務省はかねて、後継者人事の時間を稼ぐとともに金融市場に安心感を与えるため、カーニー総裁をできるだけ長く引き留めようとしていた。一方、同総裁はEU離脱が英経済に及ぼす悪影響を繰り返し警告したことから、EU離脱派からは「意図的に不安をあおっている」との批判を受け、辞任を求める声も上がっていた。[労務]
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