独産業ガス大手リンデ・グループは22日、米同業プラクスエア(Praxair)との合併計画について、米競争当局から売上高にして43億ドル相当以上の事業の売却を求められていることを明らかにした。両社は事業売却額がこの水準を上回った場合には、計画を再検討することを決めており、白紙化される可能性も出てきた。
リンデとプラクスエアは2016年12月に対等合併することで基本合意。その際に、競争当局からの買収を求められる事業の規模が売上高で37億ユーロ(43億ドル)を越えた場合には、再度の合意が必要と定めていた。リンデはこの日の声明で「競争当局からのフィードバックにより、売却事業の売上高の上限が既定の水準を上回ることが明らかになった」とした上で、「両社間および当局と建設的な対話を続ける」とコメントした。
両社はかねて、米当局からの承認獲得に向け、リンデの北米資産の大半とリンデおよびプラクスエアの南米資産の一部の売却する方針で、独同業メッサー(Messer)・グループと英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから成るコンソーシアムと交渉を進めている。しかし米連邦取引委員会(FTC)は先に両社に対し、当初に予想されていたよりも多くの資産を売却するよう求めるとともに、これらの資産の買い手についても一定の条件を科していた。
なお、欧州委員会は20日、プラクスエアが欧州事業を売却することなどを条件に合併を承認する方針を示した。プラクスエアは、既に仏独伊など欧州11カ国の産業ガス事業を大陽日酸に50億ユーロで売却することで合意している。両社はこのほか、中国とインド、ブラジル、韓国、アルゼンチン、チリで承認を獲得する必要がある。[日本企業の動向][M&A][EU規制]
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