米信用格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)とムーディーズ・ インベスターズ・サービスは17日、トルコの外貨建て長期債を格下げしたと相次いで発表した。S&Pは、投資不適格(ジャンク級)内で「BBマイナス」から「Bプラス」へと1段階引き下げ、見通しは「安定的」に維持。一方、ムーディーズは同じくジャンク級内で「Ba2」から「Ba3」へと1段階引き下げ、見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更している。いずれも、通貨リラの暴落による経済の混乱を理由に挙げている。
S&Pは、通貨リラの対ドル相場は年初から38%低下しており、この下落のうち半分が過去2週間に生じていると指摘。格下げの理由について、「通貨リラの極度の変動と、その結果として生じる国際収支の急変がトルコ経済に悪影響を及ぼすと予想した」と説明した。同社はトルコが来年、リセッション(景気後退)に陥ると予想している。
一方、ムーディーズは、「トルコの公的機関がさらに弱体化し、それに伴い政策の予測不能性が一段と高まっている」と指摘。米国との関係が悪化していることもあり、「政府が経済の軟着陸に成功する確率は低下している」とした上で、「この結果、金融ストレスが続くリスクはきわめて大きく、国内銀行や外国資本を必要とする企業がさらなる悪影響を被る可能性がある」としている。
トルコを巡っては、米英信用格付け大手フィッチ・レーティングスも7月に格下げを行っていた。
■カタール中銀と通貨スワップ
トルコ中央銀行はこの日、カタール中央銀行(QCB)と通貨スワップ協定を結んだ。30億ドル相当を上限にトルコ通貨リラとカタール通貨リヤルを交換する。トルコに流動性を供給し金融市場を安定化させる目的。両行が20日発表した。
カタール政府は先に、トルコへの150億ドルの投資を約束したばかり。両国は伝統的に良好な関係にあり、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国が昨年、テロ支援の疑いを理由にカタールと断交した後も、トルコはカタールの立場を支持してきた経緯がある。
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