下院の科学技術委員会は17日公表した報告書で、電子たばこの規制を緩和し、より広く普及させるべきとの見解を示した。電子たばこは通常のたばこより有害性がはるかに低く、禁煙の手段として国民医療制度(NHS)で処方するべきと訴えている。
同委は昨年10月、超党派議員による電子たばこの実態調査に着手し、その結果を今回の報告書にまとめた。報告書は、電子たばこの長期的な健康への影響はまだ解明されていないと認めた上で、タールも一酸化炭素も含まないため通常のたばこより有害性は低いとしている。また、若年層などが電子たばこの使用をきっかけに喫煙者になるとの懸念についても、現実にはそうした傾向は見られないとする。
報告書は、電子たばこの蒸気が周囲の人の健康に及ぼすリスクは無に等しく、バスや電車での使用解禁も検討するよう提言。このほか電子たばこについて、◇広告規制の緩和◇税金の引き下げ◇健康効果に関する年次報告書の作成◇医療機器としてのライセンス付与◇リフィルのニコチン強度やタンクの大きさの制限の見直し――などを求めている。また現在、欧州連合(EU)の規則に基づき禁止されているかぎたばこ「スヌース(snus)」についても、解禁を求めた。
同報告書によると、英国では現在、約290万人が電子たばこを使用。うち、禁煙目的で使用している人は47万人に上り、この結果、年間数万人が禁煙に成功しているという。電子たばこを巡っては、イングランドの公衆衛生当局であるパブリックヘルス・イングランド(PHE)も、通常のたばこより危険性が95%低いとの見解を示し、NHSでの処方を求めている。
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