通貨リラの急落を受けてトルコ中央銀行は13日、市中銀行が必要とするあらゆる流動性を提供する方針を発表した。リラの下落に歯止めをかけ、金融市場を安定化させることを狙っている。アルバイラク財務相も金融市場を支えるため、行動計画を発表することを明らかにしている。
中銀は具体的には、国内銀行が中銀に預けるリラ建て預金準備率をすべての期間について2.5ポイント引き下げること、非中核的な外貨建て債務に対する預金準備率を償還期限3年までについて4ポイント引き下げることなどを決めた。これにより約100億リラ(15億2,500万ドル)と約90億ドルの流動性が供給されるという。
これと併せて中銀は、トルコリラの取引に対する担保規制を緩和するほか、銀行が保有する外貨を担保にして借り入れできる額を72億ユーロから200億ユーロに引き上げることなども発表した。ただし、リラの安定に欠かせないとされる政策金利の引き上げの可能性には言及していない。
今回のリラ急落の一因には、米国との対立がある。米国は、トルコが拘束する米国人牧師のブランソン氏の解放を求めているが、トルコは同氏が違法な反政府運動に関与しているとして米国の要求を拒否。このため米国は、トルコに対する鉄鋼とアルミニウムの関税を2倍に引き上げることを決めていた。またトルコのエルドアン大統領が、政策金利の引き上げに反対する姿勢を改めて示したことで、インフレが高騰しリラの下落が進み、トルコ経済のハードランディングが避けられないとの見方が強まっていることも市場に影響を与えている。
リラの下落により外貨建てで借り入れているトルコ企業の債務が実質的に膨らみ、返済が困難になるとの懸念も広がっている。このため、同国での事業に積極的なスペインの銀行大手バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)や伊金融最大手ウニクレディトなどにも影響が出ると見られている。
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