欧州委員会は18日、米インターネット検索エンジン大手グーグルが欧州連合(EU)の競争法に違反したとして、史上最高の43億4,000万ユーロの罰金を科した。同社が携帯端末向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」の市場での支配的地位を乱用し、自社の検索アプリ「グーグル・サーチ」やインターネットブラウザ「グーグル・クローム」を不当に優遇したとしている。
欧州委はこの問題について、2015年4月に調査を開始。2016年4月には、競争法違反の疑いで異議告知書を送付していた。同委の調査結果によると、グーグルは携帯端末メーカーに、自社のアプリストアのライセンス供与の条件として、「グーグル・サーチ」および「グーグル・クローム」の事前インストールを要求。また、大手のメーカーや通信事業者に対し、「グーグル・サーチ」の独占的な事前インストールと引き換えに支払いを行ったほか、同社アプリの事前インストールを希望するメーカーが、OS「アンドロイド」だけを搭載しグーグルのアプリを事前インストールしていないグーグル非認証機種(いわゆる「アンドロイドフォーク」)を同時に販売することを禁止していた。
「アンドロイド」は世界のスマートフォンの80%以上に搭載されている。欧州委は、グーグルが90日以内にこうした行動を是正しなければ、追加で親会社アルファベットに1日当たりの平均世界売上高の最大5%の罰金を科すとしている。
これに対し、グーグルのサンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は、「アンドロイドを支えるビジネスモデルは、消費者の選択肢を減らすのではなく増やしてきたが、今日の決定はこれを否定するものだ」と反論している。
欧州委は昨年6月、グーグルが検索エンジン市場での支配的立場を利用し、自社の商品検索サービス「グーグル・ショッピング」を不当に優遇する検索結果を表示したとして、当時として史上最高の24億2,000万ユーロの罰金を科していた。グーグルはこれを不服とし、欧州一般裁判所に提訴しており、裁定が下されるまでには数年かかる見込み。
同委はこのほか、ウェブサイトの運営者に検索連動型の広告スペースを提供するグーグルの「アドセンス(AdSense)」サービスについても、競争法違反の疑いで調査を進めている。[EU規制]
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