中国の自動車部品メーカー、寧波継峰汽車零部件(継峰)は、自動車や鉄道車両、航空機の座席を手掛ける独グラマー(Grammer)の買収に向け、株式公開買い付け(TOB)を開始したと発表した。両社は5月に包括的な企業合併契約(BCA)を結んでいる。
継峰の筆頭株主である王一族が、ドイツ子会社を通じてTOBを実施する。継峰の提示額は1株当たり60ユーロで、BCA締結を発表した5月29日の前日終値に19.9%のプレミアムを上乗せした水準。グラマーの企業価値を7億5,600万ユーロと見積もった格好だ。
継峰は現在、グラマーの25%株超を保有しており、7月23日を期限に50%プラス1株以上の確保をTOB成立の条件としている。成功した場合、2週間の期限延長が義務付けられる。取引は関係当局の承認を得た上で、9月末までの完了を見込む。
先に結んだ契約内容には、7年半にわたりグラマーのドイツ上場や本社・各国拠点を維持することが盛り込まれており、従業員の雇用も保障される見通し。また、継峰はグラマーの経営戦略を尊重するほか、経営陣の承認なしにスピンオフ(事業の分離・上場)や経営権掌握、上場廃止といった構造改革を行うことができず、商標や特許、その他の所有権を保護することも規定されている。
グラマーは、株主構成の安定化と世界的な事業展開の最適化につながるとして取引を歓迎。両社の製品は補完性が高く、双方の市場をより効率的に開拓する上で有益としている。[M&A][労務]
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