トルコで24日、大統領選挙と議会選挙の投開票が行われた。開票率98%の時点で、大統領選は現職のエルドアン氏が得票率52.5%で首位に立ち、2期目に王手をかけた。議会選は同氏率いる与党・公正発展党(AKP)が第1党の座を確実にしている。トルコでは昨年、大統領の権限を強化する憲法改正案が国民投票で可決されており、今回の選挙後に議院内閣制から大統領制に移行する。BBC電子版などが伝えた。
大統領選には最終的にエルドアン氏を含む6人が立候補。2位につけた最大野党の共和人民党(CHP)のインジェ氏は30.8%と大きく水を空けられた。クルド系政党の国民民主主義党(HDP)のデミルタシュ前共同党首は8.2%、新党の優良党(IYI)を率いるアクシェネル元内相は7.4%でこれに続いた。
昨年4月の国民投票で可決された改憲案は、次期大統領に閣僚や高官の任命、大統領令の発布、非常事態宣言発動の是非の判断などの権限を付与することや、任期を最大2期10年に延長することなどを定めていた。選挙戦では、エルドアン氏の対抗馬と目されていたCHPのインジェ氏が強権政治を終わらせると訴え、勝利した場合は、2016年7月のクーデター未遂に伴い発令された非常事態宣言を48時間以内に終了することなどを公約。しかし、国民は安定と繁栄をもたらすと主張したエルドアン氏を支持した格好だ。同氏は2003年から3期連続で首相を務めた後、2014年に大統領に就任していた。
一方の議会(一院制、600)選は、AKPが42.4%を得票。連合相手の右派・民族主義者行動党(MHP)と合わせると53.6%に上り、過半数議席を確保した。これらに対抗するため政党連合を組んだCHPやIYIなどの得票率は34.2%にとどまった。与党はAKPなど3党、野党はCHPやIYIなど4党が政党連合を組み、与党連合が過半数議席を確保できるかが注目されていた。なお今回の議会選から、定数は550から600に拡大され、任期も4年から5年へと延長されている。
今回の大統領選と議会選は当初予定の2019年11月から前倒しで実施された。背景には、物価の高騰や通貨トルコリラの下落などにより有権者が経済的な苦痛に直面していることや、与党AKPの過半数割れを狙った野党が、エルドアン大統領に対抗すべく結束を見せたことなどがあるとされる。
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