マケドニアとギリシャが12日、国名を巡る対立の解消に向け、マケドニアを「北マケドニア共和国」に改称することで合意した。最終決定には両国議会と、マケドニアの国民投票での承認が必要となるが、実現すれば27年に及んだ国名論争に終止符が打たれる格好。BBC電子版などが伝えた。
両国は1月に国連の仲介による交渉を再開。マケドニアのザエフ首相とギリシャのチプラス首相は5月にブルガリアで開かれた欧州連合(EU)首脳会議(サミット)で会談し、11日と12日の電話会談を経て妥結した。今回は、「北マケドニア共和国」を国際的に使用できる国名とすることでも合意している。マケドニアは改称に向けて憲法を改正する必要があり、そのための国民投票を実施する予定だ。
マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビア共和国から独立した際、マケドニア共和国の名称を採用。これに対してギリシャは、この国名にはギリシャ北部のマケドニア地方を自国領土とする野心があると指摘し、古代マケドニアを歴史的に継承するのはギリシャであるとかねて主張してきた。
マケドニアはこれまで国連など国際的な場では、国名問題が解決するまでの暫定措置として「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(FYROM)」の呼称を使用。しかし、ギリシャはこの問題を理由にマケドニアのEUと北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻止してきた。マケドニアにとり、関係修復でEUとNATO加盟の障壁が取り払われる形。ただ、ギリシャのナショナリストらは「マケドニア」の呼称が含まれること自体にかねて反発しており、両国首脳は今後も互いの反対派と直面する必要がありそうだ。
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